守銭奴といわれたトヨが死んだ。遺された3人の兄妹、一男、二郎、里奈は死を悼むどころか内心では小躍りしたい気持ちでいた。トヨは身内である彼らに対しても甘い顔は見せることはなかった。だが、自らの死を悟ったせいか、親としての情を思い出したのか、兄妹に遺産を残したのだった。兄妹はその分配についての相談があると、遺産管理を任された弁護士の武也から連絡を受けた。 一男は妻の愛子とバスで別荘に向かっていた。乗り継ぎまでの間に彼は愛子を抱いた。いよいよフィニッシュを迎えた時、草陰から嬉しそうな声が聞こえる。見ると、別荘のある村で子供の頃から兄妹が馬鹿にしてきた朝男が顔を覗かせた。愛子の喘ぎを真似る朝男を追い払い、呆れる一男。そんな朝起が金の事で揉めては寄りつかなくなる兄妹の代わりにトヨの面倒を見ていた事、それゆえに遺産の一部を与えると遺言に書かれているとは知らなかっ...