2021年3月11日、宮城県牡鹿半島の海を望むイタリアンレストランで、オーナーシェフの小野寺潔(おのでら・きよし)は友人を招き宴を開く。被災地が厳粛な空気に包まれるこの日に、あえて酒を飲んで騒ごうという。どういうことなの?と、いぶかしがる友人たち。すると潔はこの会に秘められた深い理由を話し始めた―。東日本大震災でレストランと仲間を失い自暴自棄になっていた潔。一体どうやってレストランを再建し、最高の味を追求するシェフになれたのか? 苦難があっても、前向きに人生を送れるかもしれない。そんな思いになれる、極上の群像劇。